■□ 王道通信 □■ Vol.43
目次
1...専業大家の独り言 〜 地方のアパート市場の現状
2...借地入門(2) 〜 借地権の概要?
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇地方のアパート市場の現状
アパート専業大家・白岩貢
- サブプライムローン問題をきっかけに、株式相場は大幅に下げ、ガソリン代はものすごく上がり、なんだか穏やかならざる経済情勢です。
逆に、不動産の売りが増えてきそうで、アパート投資にはある意味ではチャンスかもしれません。
地方のアパート市場にも、いろいろ動きがあるようです。
最近、ある会員さんからいただいたメールをご紹介します(ご本人の了解を得ています)。
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地方で大家業をやっている者です。
最近、急速に市場の雰囲気が変わってきたことを実感しています。
先日、斡旋管理を依頼している●●●から、「来年度の募集から各部屋3000円下げて出したい」との申し出がありました。
他業者の新築物件がそれ以下の家賃で出してきている以上、いまいる入居者はどうするのかと尋ねると、一律で下げざるを得ないかもしれないというのです。
現在50室ほど所有しており、単純計算で月15万円近い収入減が予想されます。
近くでは、大手企業が大規模なアパート建築を計画していたり、土地を一つ挟んで営業していたド大型形体ショップが看板を外して机を運び出していたりします。
つい先日も近所のラーメン屋や居酒屋が撤退したばかり。
前々から薄々想定はしていましたが、やはり厳しい現実を突きつけられるとやはりショックです。
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もちろん、地方といってもひとくくりにはできません。
賃貸市場が好調なところもあるでしょう。
しかし、10年後、20年後を見据えてどうするべきか、それぞれの大家さんが真剣に考えるべきでしょう。
2...借地入門(2) 〜 借地権の概要
- 他人の土地を使う法律関係には、いくつかの種類があります。
前回、ふれたように他人の土地で工作物または竹林を所有するための「地上権」、他人の土地で工作または牧畜をする「永小作権」、他人の土地を自己の土地の便益のために使う「地役権」、お金を払って借りる「賃貸借(賃借権)」、タダで土地を借りる「使用貸借」などがあります。
アパートを建てるとなると、「建物所有を目的」とすることになり、借地借家法では建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権を「借地権」として、保護しています。
この場合、法律の趣旨として保護するのは借地人の生活や営業であり、同法の「建物」には、橋、広告塔、電柱、ガソリンスタンド等は含まれないとされます。
たとえば、ゴルフ練習場として使う目的での借地は、たとえ事務所などの建物を建てても対象にならないとした判例があります。
借地借家法による「借地権」の大まかな決まりは次のようになっています。 - 契約期間
最低30年以上。
更新後は1度目が20年以上、2度目からの更新後は10年以上(定期借地権を除く) - 更新拒絶
地主側が契約更新を拒絶し、明け渡しを求めることができるのは「正当事由」がある場合のみ - 対抗力
借地権の登記がなくても、土地の上に借地権者が登記された建物を所有していれば、第三者に対抗できる。
(たとえば、地主が他人に底地を売却しても、借地権を主張できる) - 建物買取請求
借地権の存続期間が満了し、契約が更新されない場合、借地権者は地主に建物などを時価で買い取るよう請求できる - 借地条件の変更及び増改築
地主が承諾しなくても、一定の場合、裁判所に申し立て条件変更などが可能 - 借地契約の更新後の建物再築
地主が承諾しなくても、一定の場合、裁判所に申し立て地主の承諾に代わる許可を得ることができる - 土地賃借権の譲渡・転貸
地主が承諾しなくても、一定の場合、裁判所に申し立て地主の承諾に代わる許可を得ることができる
とにかく、一度、借りてしまえば借地人のほうが有利。
手厚く保護されているといっていいでしょう。
なお、現在の借地借家法は平成4年(1992年)に施行されており、それ以前に結ばれた借地権については、原則として旧・借地法が適用されます。
そして、新法を適用しても実質的に違いが生じない場合に限って、新法が適用されます。
旧法の適用が意味を持つのは、借地契約の存続期間(当事者が特別の定めをしなかった場合、堅固な建物については最初60年、更新後30年、堅固でない建物については最初30年、更新後20年)などです。
旧法での借地契約が更新される限り、借地人が変わったとしても、半永久的に旧法の適用が残ることになります。
※参考:内田貴「民法2」(東京大学出版会)など
編集後記
- 昨日、王道初となるDVDの編集作業が終わりました。
プロのナレーターによるナレーションを録音し、音楽を入れ完成。
冒頭はまるでテレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』みたいです。
内容も「王道流アパートの考え方、作り方」についてのヒントやノウハウが満載。
アパート投資を考えている人には必見の内容です。
ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。(古井)