■□ 王道通信 □■ Vol.44
目次
1...専業大家の独り言 〜 公的年金の記録確認
2...借地入門(3) 〜 借地権の対抗力
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇公的年金の記録確認
アパート専業大家・白岩貢
- 先日の「オンリーワン勉強会」では、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの望月厚子さんに、公的年金についてすごく分かりやすく、講義してもらいました。
公的年金は、確かに色々問題はありますが、これまで保険料を払ってきた人は、ちゃんと権利を行使すべきです。
それにはまず、自分の年金記録を確認することが大事。
どうやって記録を確認すればいいか、望月さんの資料から少し紹介させていただきます。
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●こんな人は要注意
年金記録は「基礎年金番号」「氏名」「生年月日」「性別」で管理されている。
宙に浮いた年金記録は5000万件を超える。
こんな人は注意!- 転職したことがある
- 国民年金、厚生年金保険、共済年金の各制度間を移動したことがある。
(平成9年以前は別番号) - ずっと同じ会社に勤めていても、転勤・出向・転籍などの経験をしたことがある。
- 結婚や離婚、改名、養子縁組などをしたことがある(名前が変わる)。
- 氏名が読み違いされやすい、男性・女性どちらにも共通する名前である(以前はカタカナで記録)。
- 戸籍に記載されている氏名以外(通称)を使用していたことがある。
- 年金手帳の生年月日が間違っている、戸籍の生年月日以外を使用したことがある。
- 年金手帳を2冊以上持っている、なくしたことがある。
- 国民年金の特例納付制度を利用したことがある。(実施時期:昭和45年、49年、53年)
- 昭和29年4月1日以前に厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、その後昭和34年3月31日までに厚生年金保険に再加入しなかった(その当時、結婚退職した女性など)
- 結婚前に会社に勤めていて、結婚後に国民年金に加入した(記録が統合されていない可能性あり)
- 厚生年金基金のある企業を短期(勤続10年未満あるいは15年未満)で退職した。
- 準備するものとして、年金手帳、年金証書、振込通知書など
- 準備すると“よい”ものとして、職歴表(働き始めてから現在までの勤務先名、勤務期間、勤務先所在地をまとめたもの)、身分証明書(運転免許証など)、印鑑など。
- 具体的には・・・
A.窓口に行く
全国の社会保険事務所、年金相談センター、中央年金相談室で受け付け。
※年金記録の確認は委任状があれば、代理人(家族や友人など)でもOK
B.電話をする
年金記録紹介専用…ねんきんあんしんダイヤル(0120-657-830)24時間、土日も対応。
手元に届いた回答票の問い合わせなど…ねんきんダイヤル(0570-05-1165)
月〜金:8:30〜17:15(月曜日は〜19:00)
※後日、「被保険者記録照会回答票」が郵送される。
C.インターネットを利用する
社会保険庁のホームページで随時確認できるが、事前にIDとパスワードを取得する必要がある。 http://www.sia.go.jp/sodan/nenkin/simulate/index.htm
D.郵送で依頼する
全国の社会保険事務所、中央年金相談室などで受け付けている。
☆共済年金の場合、各共済組合に問い合わせを
☆年金記録に誤りがあれば、修正(訂正)を依頼
☆年金記録が見つからなければ、調査を依頼
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こういう情報を知っているのと知っていないのとでは、すごい違いが出ると思い ます。
アパート経営も同じ。 常に勉強ですね。
2...借地入門(3) 〜 借地権の対抗力
- 賃借権は弱い権利
- 借地借家法が対象とする借地権には、物権である地上権と債権である賃借権があります。
物権というのは、所有権がその代表ですが、「物」そのものに対する強力な権利です。
これに対して債権は、契約に基づいて特定の人との間にだけ効力のある、弱い権利です。
したがって、土地の賃借権も本来は、地主と借地人の間でのみ有効な権利で、他人(第三者)に対してその権利関係を主張することはできないのが原則です。
たとえば、地主Aと借地人Bが土地の賃貸借契約を結んでいたものの、地主Aが土地を売却し、新たに地主Cが土地の所有者になった場合、新しい地主Cは借地人Bに立ち退きを要求できるのです。
- 借地借家法が対象とする借地権には、物権である地上権と債権である賃借権があります。
- 賃借権の登記は稀
- もっとも、民法では、賃借権を登記していれば、賃借人Bは、新しい地主Cに対してもその権利を主張できるとしています。
これを「対抗力」といいます。
ちょっと難しい言葉ですが、「ある法律関係の効力を当事者以外の第三者に対して及ぼすことができること」(法律学小事典)です。皆さんご存知のように、土地(所有権)を売買した場合は、登記しないとこの対抗力が備わりません。
さて、賃借権の対抗力も登記が要件となりますが、当事者の特約がない限り、賃借人(借地人B)は賃貸人(地主A)に賃借権の登記を求めることはできないというのが判例・通説です(物権の場合は売主に対する登記請求権が当然に発生)。
実際、賃借人は、賃借権を登記すると自分の権利が制約を受けることになりかねないので(登記された賃借権付きの土地や建物は売却しにくい)、特約に応じることはまずありません。
- もっとも、民法では、賃借権を登記していれば、賃借人Bは、新しい地主Cに対してもその権利を主張できるとしています。
- 借地権は「建物の登記」が鍵
- こうして、かつては賃借人(借地人Bなど)の地位はかなり不安定になっていました。
そこで、旧借地法・借家法、現在の借地借家法では、賃借人を保護する規定を置いています。
借地の場合、借地上に登記された建物を所有していれば、賃借権そのものの登記がなくても、第三者に対して借地権を対抗することができる、というのです。
本来は債権である賃借権が、物権に近い効力を持つようになっており、これを「賃借権の物権化」と呼びます。
このように、借地では「建物の登記」が非常に重要です。
それも、借地人本人の名義である必要があります。
同居の長男名義や妻名義である場合は、対抗力は認められないとするのが判例です。
- こうして、かつては賃借人(借地人Bなど)の地位はかなり不安定になっていました。
編集後記
- 昨日、朝起きたら寒気がして、関節が痛く、頭もなんだかフラフラするではありませんか。
2〜3週間ほど前から風邪気味だったのですが、それほど悪化しなかったので油断していました。
インフルエンザではないようですが、いまからでもワクチン打ったほうがいいかな、などと考えてます。
外出時はマスク、帰宅したらうがいと手洗いが大事とか。
みなさんもお気をつけください。(古井)