■□ 王道通信 □■ Vol.40
目次
1...専業大家の独り言 〜 地方から東京へ
2...不動産投資入門 〜 買い替えの場合の税金の特例
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇地方から東京へ
アパート専業大家・白岩貢
- 最近、地方の地主さんから相談をいくつか受けています。
中国地方のある大家さんは、大学の近くにある満室経営中のマンションを売却。
その代金で世田谷に土地を買い、アパートを建てたいとおっしゃっています。
また、東海地方のある地主さんは、ターミナル駅の近くにある土地をひとつ処分し、すでに世田谷の一等地に土地を取得。
アパートの企画を始めています。
もちろん、先祖伝来の土地を全部、処分するといったことではありません。
資産の一部を組み替えるものです。
みなさん異口同音におっしゃるのは、地方では賃貸市場の先行きに不安があるので、東京でアパートを持ちたいということ。
また、地方では、相場に比べて相続税路線価の水準が高いケースも少なくないようです。
相続税路線価は毎年見直されますが、過去の地価の動きを見てからなのでタイムラグが生じ、地価が下がっているときは割高になるのです。
人口や世帯の減少、高齢化といったトレンドも地方のほうが先に進んでいます。
大地主さんでも、地方にだけ土地を持っていると、これからの時代、ジリ貧になっていく可能性があります。
冷静に考えれば、これからの時代、地域間の経済力の格差は間違いなく開いてい くでしょう。
不動産投資、特に個人がアパートや賃貸マンションなどを持つ場合、どのエリアを選ぶかは非常に重要です。
とすれば、日本の中で最も経済活動が活発で、若い世代も多い首都圏、それも都内の人気エリアに資産の一部を移す選択は、非常に合理的だと思います。
実は、今回の組み換え相談をしてきた大家さんたちは、学生時代に東京で生活したり、就職して東京転勤を経験したりしていたことのある人たちばかりです。
彼らの周りにいる大家さんたちは、むしろハウスメーカーやアパート専業メーカーなどのセールストークに乗せられ、地元でせっせとキャッシュフローのあまり回らないアパートなどを建てているそうです。
東京と地方の両方を知っているからこそ、他の大家さんたちより危機感があるし、なんとかしようと真剣になるのでしょう。
現状維持でなんとなく行くのと、将来を先取りすべく積極的に動くのと、10年後、20年後には大きな差が生まれているような気がします。
2...不動産投資入門 〜 住宅着工数の落ち込み
- 不動産を買い替える場合、所有している土地や建物を売却するので、税金の問題が生じます。
売却した金額から、購入したときの金額(取得費)や仲介手数料などを引いたもの(利益)に対して、他の所得とは切り離して、
税金がかかるのです(分離課税)。
税率は原則、売った年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合は20%(所得税15%と住民税3%)、5年未満の場合は39%
(所得税30%と住民税9%)です。
ところが、一定の条件を満たす事業用の不動産について買い替えを行なうと、税金が安くなる特例がいくつかあります。
代表的なものの概要は、次の通りです。
●売却する資産:売却する年の1月1日において所有期間が10年を超える国内にある事業用の土地等や建物
●売却の期限:平成20年12月31日まで
●買い換える資産:国内にある土地等、建物または機械装置
●買い替えの期限:資産を売却した年か、その前年あるいは翌年の3年の間
●買い替え後の事業開始の期限:買い替え資産を取得した日から1年以内
●土地等の面積についての制限:買い換える資産が土地であるときは、原則として譲渡した土地の面積の5倍以内
この特例を利用すると、売った金額より買った金額のほうが多いときは、売った金額の2割にのみ、上記の税率で課税されます。
ざっくりいって、本来の税額が5分の1になるわけです。
なお、適用の対象となるのは平成20年12月31日までに事業用の土地等を売却した場合に限ります。
つまり、来年中に売却して、買い替え先を探す必要があるわけです。
この特例を上手に利用すれば、それだけ税金が少なく、資金計画が有利になります。
ぜひ、上手に活用するといいでしょう。
※上記はあくまで概要であり、その他の条件や例外などがあります。
※より詳しくは、国税庁のホームページをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/jouto.htm
※また、実際に適用を受ける場合は、最寄の税務署やお知り合いの税理士などにご相談ください。
編集後記
- 昨日、「オンリーワン勉強会」初のDVD作品の撮影で、新しく完成した「ゼロ型」と4棟が並んだ「戸建て賃貸」を回ってきました。
「ゼロ型」は工事中を見ていましたが、完成すると印象が全然違います。
シンプルで堂々とした外観、充実した設備仕様、ゆとりある空間構成、さすが小櫻さんの設計です。
内部も、落ち着いたブラウン系でまとめた部屋と、明るいベージュ系でまとめた部屋が交互になっており、入居者は好みに合わせて選べます(先着順ですが)。
今度、会員限定のバス見学会がありますが、かなり申し込みがありそうです。
さらに年末には、会員以外の方にも、別の「ゼロ型」タイプの有料見学会を企画中。
ご期待ください。(古井)