■□ 王道通信 □■ Vol.33
目次
1...専業大家の独り言 〜 お宝マンション
2...不動産投資入門 〜 「地価調査」の裏側
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇お宝マンション
アパート専業大家・白岩貢
- 最近、ある金融機関関係者から聞いた話ですが、新宿で10坪ほどの区分所有の中古マンションを投資用に買った人がいたそうです。
築年も古く、1,000万円程度で数年前に購入したものですが、そのマンションがたまたま容積率緩和の対象エリアにあったため「地上げ」の話があり、なんと1億円以上で売れたとか。
詳細は不明ですが、小泉政権の規制緩和路線のもと、平成14年にできた「都市再生特別地区」のことらしいです。
これは、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る必要があると認められたプロジェクトの対象区域では、用途制限、容積率制限、斜線制限、高度地区による高さ制限、日影規制といった規制がすべて適用除外になるもの。
要は、土地の使い勝手が劇的によくなり、事業の収益性もアップするわけです。
こうなると、1,000万円程度のオンボロ中古マンションでも、その価値は桁違いになります。
不動産投資でも、こういう一攫千金のケースが確かにあるのです。
古くは、新幹線の新駅や高速のインターができる前に周辺の農地を二束三文で買占め、大もうけするといった話がそうでした。
確かに、事前にそういう情報を何らかのルートで入手できれば、濡れ手に粟。
大もうけできるでしょう。
しかし、一般人には普通は無理。
変に山っ気を出すと「原野商法」にひっかかりかねません。
新宿のお宝マンションもたまたまのことでしょう。
ちょっと番地が違えば、入居者集めに苦戦したり、大規模修繕工事で多額の持ち出しが必要になったかもしれません。
自分の判断でリスクをコントロールしながら手けるのが不動産投資の王道。
内心、うらやましいなあと思いつつ、我が道をいくだけとという思いを新たにした次第です。
2...不動産投資入門 〜 「地価調査」の裏側
- 昨日、平成19年都道府県地価調査の結果が発表されました。
平成18年7月以降の1年間の地価動向は、- 三大都市圏では2年連続して上昇
- 地方圏では下落幅が減少
- 個別には下落地点が大半を占める
- 全国平均で見ると住宅地はほぼ横ばい、商業地は16年ぶりにわずかな上昇といったところです。
しかし、統計数字は客観的なように見えて、実は決して客観的ではありません。
違った見方をすれば、いくらでも操作できる余地があるのです。
そもそも、都道府県地価調査や1月1日時点の地価を調べる公示地価調査は、調査地点の変動率の単純平均。
価格は関係ありません。1m2あたり10万円の地点が10%上昇するのと、1m2、100万円の地点が10%上昇するのと、同じ扱い。
しかし、実際には上昇した価格は1m2当たり1万円と10万円で全然違います。
また、日本独特ですが、土地と建物は別の不動産。地価の公的調査は、建物があっても、更地としての評価に修正し、しかも売り急ぎや買い急ぎといった要素を排除するとしているのです。
一見、もっともらしく聞こえますが、要は評価にあたる不動産鑑定士やそれをとりまとめる国土交通省の意図が自ずと加わる余地が出てきます。
だからというわけではありませんが、数年前、地価がまだ下落トレンドの真っ最中のとき、なぜか1年のうち後半になると下落率が鈍化するという結果が2〜3年続いたことがありました。
本当は、現場の取引価格を素のままで公表するのが、一番客観的でしょう。
人為的に更地価格に修正したり、売り急ぎ・買い急ぎの要素を排除するほうがおかしいともいえます。
ただ、そうした部分を割り引いても、参考になる点はいろいろあります。
たとえば、個々の調査地点の鑑定を行う不動産鑑定士は、取引事例をピックアップし、不動産会社などにヒアリングしており、個別の特徴的な地点の動きについて、その理由が説明されるともあるからです。
今回もたとえば 「守谷市で10%を超える地点が見られたが、これはつくばエクスプレス開業後の路線商業地域の集客力の高まりによるものである」
「物流施設に対する需要を背景として上昇地点が見られる」
「臨海工業地への企業集積の影響により上昇地点が現れた」
「圏央道の関越道から中央道までの開通による交通利便性の上昇により上昇地点が現れた」
「第二名神高速道路の部分開通を間近に控え工業立地が進む」
「東北新幹線延伸による新駅建設地に隣接しており」
など、地価が上昇する具体的なケースを理解するヒントがありました。
地価の調査情報はその背景を知りつつ、参考になるところは参考にする、というのが賢い利用法でしょう。
編集後記
- 一昨日、田舎の母親が骨折して入院したという電話があり、内心やや動揺。
結局、2ヶ月ほど入院することになりそうですが、幸いにも骨折したのが腕で、手術もせず、自然治癒とリハビリでなんとかなりそうなのでちょっと安心。
この年になると親の介護がリアルな問題となってきます。
なんだか人生というのは課題、難題が次から次へと現れるものですね。(古井)