■□ 王道通信 □■ Vol.27
目次
1...専業大家の独り言 〜 金融引き締め?
2...「王道チーム」リレーエッセイ 〜 小林雄二
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇金融引き締め?
アパート専業大家・白岩貢
- 最近、銀行の不動産ローンに対する対応について、いくつか話を聞く機会がありました。
第一に、都銀や地銀の動き。
「中古一棟もの」への融資にブレーキがかかっているようです。
以前ならすんなりOKが出たような案件でも、断られるケースが急に増えているようです。
RC(鉄筋コンクリート)物件をフルローンで買って、利回りを追求するというやり方はもう厳しいのかもしれません。
第二に、その影響か、ノンバンク系の信託銀行に、かつてなら来なかったような顧客がどんどん訪ねてきているそうです。
たとえば、大手企業の社員などが、投資用不動産を買おうと思って都銀、大手地銀に相談したものの色よい返事がもらえず、その銀行へ駆け込むというのです。
当然、金利などは多少高くなりますが、それでもローンが付けば構わないということなのでしょう。
第三に、ワンルームに関する動き。
同じく都銀や地銀大手の例ですが、中古のワンルームにはローン(特にフルローン)がつかないようです。
中古のワンルームの担保価値について、慎重になっているのでしょう。
これから中古ワンルームを買えるのは、全額キャッシュの人に限られるようになるかもしれません。
第四に、不動産ファンドなどが不動産の「買い手」から「売り手」に転じるケースが急速に増えているようです。
不動産ファンドなんて、他人のお金を集めて収益を少しでも上げるのがお仕事。
先行きが微妙で、いまのうちに高く売り抜けられとならば、おそらくそういう動きかたをするのでしょう。
先日も、相続税の路線価が発表され、東京など大都市圏では地価上昇率がさらにアップ。
地方の中核都市などにも広がっている傾向があります。
こうした状況に、一部では「土地バブル」という声も上がるようになっており、金融庁などがかなり危機感を募らせているようです。
しばらく前、地価や不動産価格についていくつかの雑誌が相次いで特集をしていましたが、その中で印象的だったのは、金融当局担当者が異口同音に「かつてのバブルの二の舞いはさせない」という趣旨のことを言っているという点でした。
かつてのバブルは、金融引き締めが大幅に遅れた上に、引き締めが急激過ぎたのも問題視されました。
今回、その轍を踏まないというのなら、比較的早目から、徐々に(でもしっかりと)引き締めていくということなのでしょう。
不動産投資市場はローン(特にフルローン)を前提にして回っている部分が大きいので、金利が上がれば当然、影響がでます。
そろそろ、地価や不動産価格は油断ならない状況に入りつつあるように思います。
逆に、いまキャッシュを持っている人には、チャンスが広がるかもしれませんね。
2...「王道チーム」リレーエッセイ 〜 小林雄二
- 皆さんこんにちは。王道チーム保険担当の小林です。
今回は賃貸物件の火災保険についてお話しをしたいと思います。
一般的に火災保険は火災、落雷、破裂、爆発、風災、ひょう災、雪災などによる損害や、これらの保険事故に伴って生じるいろいろな費用に備える保険です。
不動産投資物件に付ける火災保険については特約でカバーすべき損害がいくつかあります。
一つ目は「家賃担保特約」です。この特約は火災保険で支払う事故が発生し、修理等で家賃収入が無くなってしまう場合に家賃の代わりとして保険金を受け取れます。
融資を受けられて建てた物件の場合は特に必要です。
事故で家賃収入が無くなるのに支払いはしなければならないとゆうリスクを避ける事が出来ます。
二つ目は「建物賠償責任担保特約」です。
この特約は、建物の所有、管理に起因する事故があり、法律上の損害賠償責任を負担する場合に保険金を受け取れます。
たとえば、建物の外壁が剥がれたり瓦が落ちて歩行者や車に当たってしまった場合などです。
この2つの特約は保険料も安く、おすすめです。
現在の物件をお持ちの方も、ご自分の物件が加入しているかご確認下さい。
次は補償内容とはちょっと違いますが、最近質問される事が多くなってきたものを紹介したいと思います。
Q
ウチはタバコ吸わないし、十分注意してるからウチからに出火はまず無いんですよ。
隣の家から出火して自分の物件がもらい火で焼けてしまった場合は隣の責任ですよね?
A
隣の家に対して損害賠償請求すればよいと思っている方も多いようですが、 「失火の責任に関する法律」によって、火元の損害賠償責任が免除されることになっています。
つまり火元となった隣の家からの損害賠償は期待できないのです。
民法709条(一般の不法行為責任)の規定では、故意または過失によって他人へ損害を与えた場合、損害賠償責任を負うことになります。ところが、火災に関しては 例外として『失火の責任に関する法律』があります。
ただし、故意(放火等)と重過失には民法709条が適用されて失火者が賠償責任を負うことになります。
※『重過失』とは 「わずかな注意を払っていれば予見、防止できるのに漫然と見過ごしてしまった」場合です。
例えば鍋に火をつけたまま買い物に出かけてしまった場合等です。
保険は取り合えず入っておけば的な考えが蔓延しています。
保険の自由化以前はそれでも良かったのですが、(どこで入っても同じ補償で同じ保険料でしたから・・・)今は違います。
特に最初の契約時には「保険金額が正しいか」・「不要な特約が付いていないか」などご自身の希望に合っているかを良く考えて契約しましょう。
編集後記
- 先日、白岩さんの岳父にお会いして来ました。
白岩さんの次の本の取材で自宅を賃貸併用に建て替えた話を伺ったのですが、70代半ばというお年にはとても見えないくらい溌剌として、お元気なのに圧倒されました。
つい最近まで、某公立系大病院の院長、名誉院長として活躍されていただけのことはあるなと、感心した次第です。
安定した収入こそ不動産投資の大きな目的ですが、いつまでも元気な体と何事にも前向きに取り組む精神こそ充実した人生の鍵なのでしょう。(古井)