■□ 王道通信 □■ Vol.17
目次
1...専業大家の独り言 〜 建築費の行方
2...「王道チーム」リレーエッセイ 〜 宮下周邦
3...勉強会の会員さんより
4...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇建築費の行方
アパート専業大家・白岩貢
- いま、建築費がものすごく値上がりしています。
1年前、半年前と比べてどころか、1ヶ月、1週間のスパンでいろいろなものが値上がりしています。
最近の新聞や雑誌でも、次のような報道が。 - 鉄筋用棒鋼や補強材などに使う山形鋼の市中価格は約26年ぶりの高水準。
H形鋼も上昇基調。 - セメント大手各社が4月出荷分から1トン500〜1000円の値上げを表明。
- 全国最大の供給量を持つ東京地区生コンクリート協同組合が昨秋、3年ぶりの値上げを表明。
- 木造住宅の柱や梁に使う構造用集成材の市況が強含みで推移。
原材料となる欧州の製材品の価格上昇が続いているため。
現在、国産集成管柱の価格も、前年に比べて4割高の水準。 - 住宅の床や壁に使う国産針葉樹構造用合板(12mm厚)の卸値が一段と高くなり、東京問屋卸値は中心値で、上昇前の2005年末に比べ2倍近くになった。
- 石膏ボード国内最大手の吉野石膏は、4月出荷分から製品を 15〜20%値上げすると表明した。
- ステンレスの価格高騰で、ステンレス製のシステムキッチンが値上がり傾向にある。
- 2007年3月期、資材コスト上昇を建設単価に「反映させていない」と回答する建設会社が1割を切った。
- 鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、木材・木製品の建築資材4項目全てで「値下
がり」と回答した建設会社はなかった。
逆に、鉄鋼と金属製品では、9割以上の建設会社が「値上がり」と回答した。 - マンションなど集合住宅の施工単価は、この1年で坪中り万円以上アップした。
2005年4月〜2006年3月に平均54万5000円だった坪単価は、2006年4月〜2007年3月には平均59万7000円に上昇。
直近の3カ月(2007年1月〜3月)に限ると、坪平均60万7000円で、坪70万円超の物件が2割超を占めた。 - 「王道」としても、これまでお伝えしていたような価格では、なかなか建築が難しくなってきています。
建築相談のケースで、見積もり金額がかなり高いという印象を持たれる方もいると思いますが、市場の状況が1年前とは様変わりしてきていることに、ぜひご理解をいただきたいと思います。
2...「王道チーム」リレーエッセイ 〜 宮下周邦
- 今回は賃貸物件の成約率を上げる一番重要な賃料についてお話したいと思います。
賃料が安ければ決まるのは当たり前で、今は昔と違いかなりの情報量が流れています。
昔なら、物件情報は不動産屋に行くか、毎週出る賃貸情報の雑誌を見るしか術がありませんでした。
ところが、雑誌に載っている情報はかなり偏っていて、ありえない物件が「嘘物件」として掲載されることも多く、その広告によってお店へ行ったお客様が理想と現実のギャップに困惑し、結局は営業マンの話術によって別の物件へと…。
これは多かったです。
ネットでの物件情報が出始めのときもこういうケースが多く、「おとり物件」と称して主にターミナル駅の賃貸業者はこぞって掲載していましたね。
で、今はというと…。
かなり正確になって来ました。
一部、嘘物件を掲載しているところもありますが、ネットで賃料相場を確認できるようになっています。
こうなると、お客様の知識がどんどん正確になってきます。
ですから、昔よりも新築時の賃料設定が難しく、そして細かな設定が必要になってきています。
信じられない話ですが、今年の3月に竣工した田園都市線沿いの新築物件7部屋が1室も決まっていないという事態が起こっています。
原因としてはまず、いい物件ですが賃料が相場より1万円ほど高かったこと(これは現在変更されています)。
そして、某不動産会社さんが1社で抱えてしまい、一切他社へ出さなかったこと。
このように、黙ってても決まるはずの新築物件が、悲惨な状況になってしまうので、賃料、そして不動産会社選びは重要です。
大体の希望賃料はオーナー様の方で持っておき、不動産業者の提示賃料とあまりにも開きがあるようでしたら、きっちり話し合い、詰めていくことが大切だと思います。
この物件は今、当社も仲介として入っているのでできれば、全室私どもで契約を行いたいと思っています。
今回は、仲介担当の宮下さんです。
今春の賃貸市場の動きについてレポートをお願いしました。
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3...勉強会の会員さんより
- こどもの日に相模川の鯉のぼりを見てきました。
川の両岸に5本のワイヤーを渡し1200匹の鯉のぼりが川風によって泳ぐ姿は爽快です。
その中に、『夢いっぱいの家作り』と書かれた鯉がいました。
それは今度お世話になる施工業者さんが提供している鯉でした。
このメッセージと地域への貢献努力から、単に家を建て売るだけではない『想い』を感じることができました。
社長さんのお話は、この想いを実現するための工夫が沢山詰まった努力の賜物ばかりでした。
特に『木造の家』に対する想いは強く、寒暖の差が大きく、湿気の多い日本に適しているのは木造が一番とのことでした。
また、他社がやらないことをいち早く試す探究心。
そして、通し柱が大切であること、接続部や筋交いでの工夫と話は尽きず、楽しそうに話している姿から是非ともアパートを建てていただきたいと、私の気持ちも高まりました。
建物構造部での価値は20年後には歴然ですね。
また、7月の勉強会での講師を快く引き受けていただき、もう一度話を聞けることを楽しみにしています。
編集後記
- 先週末、岩手県紫波町(しわちょう)へ行ってきました。
紫波町と東洋大学が協定を結び、町が所有するJR駅前の公有地(約11ha)に、民間の資金やノウハウを使い、税金をなるべく使わず、新しい町役場、図書館、給食センターをつくる研究プロジェクトを見学するためでした。
この手法をPPP(Public Private Partnership)といい、これからの都市開発、地域再生、公共サービスの効率化などに欠かせないキーワードになるものです(多分?)。
それはさておき、感動したのが地元の方たちの対応。
とてもフランクで親切、気持ちよくお話できました。
いっぺんに東北ファンになった旅でした。(古井)