■□ 王道通信 □■ Vol.57
目次
1...専業大家の独り言 〜 サッカーチームの話
2...境界入門(4) 〜 土地の時効取得
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇サッカーチームの話
アパート専業大家・白岩貢
- 知人の元Jリーガー・日本代表が最近、神奈川県の相模原市でサッカーチームを立ち上げました。
県リーグの一番下、3部という全くのゼロから自力でスタートするのです。
3部というと、試合日程はチーム同士の話し合い、40分ハーフで、審判も双方のチームから出すという、まさに“草サッカー”の世界。
でも、そのほうが色のついていない、自分の考える理想のチームをつくれるということで、彼は敢えてそういう道を選んだそうです。
そういう彼の考え方に共鳴し、昨年までJ1やJFLでプレーしていた選手が何人か参加。
人口70万人を超え、数年後には政令指定都市を目指そうという相模原の地元有志の人たちと一緒に、Jリーグを目指す挑戦が始まっています。
http://www.sc-sagamihara.com/
このチームの立ち上げに、私も少し協力させてもらっているのですが、他にもサッカー好きのデザイン事務所やプロのスポーツカメラマンなど、いろいろな専門家が協力しています。
これって、なんだか「王道」のアパートづくりと似ていませんか?
本物は常に、ゼロからの手作りであるべきだと思うのです。
すでにできあがったものを持ってくるほうが、おそらく簡単だし、当面の結果は出るでしょうが、ずっと先々のことを考えると、自分たちで工夫し、努力してつくりあげるほうがきっとうまくいくはずです。
みなさんもぜひ、このサッカーチームを応援してあげてください。
境界入門(4) 〜 土地の時効取得
- 境界を巡る問題としては、境界が不明なケースが多いこととならんで「時効取得」があります。
「時効」というのは、一定の状態が継続した場合に、その状態が本当の権利関係とは違っていても、所有権などの取得や消滅を認めてしまう法律制度です。
例えば、長年、他人の土地を勝手に使っていたら、そのうち自分のものになるという、ある意味“恐るべき”制度なのです。
権利の取得を認めるのが「時効取得」、権利の消滅を認めるのが「時効消滅」です。
土地については、民法162条により、次の2つの場合に時効取得を認めています。- 他人の土地を20年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有を継続した場合
- 10年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有を継続し、自分に所有権があると信じ、かつ信じることに過失がない場合
覚えておいて損(?)はないでしょう。
ただし、相手側からの裁判の請求や和解のための呼び出しなど法律で決められた一定の事由があると、「時効の中断」といって、それまで経過した期間は無効になってしまいます。
「時効の中断」は文書や口頭で文句をいっただけでは生じないので、注意が必要です。
以上のほか、時効取得で所有権が生じるためには、時効を「援用」する意思表示が必要とされますが、「この土地は俺のものだ」と言えばいいだけです。
時効取得は、境界が不明な土地の場合も、重要な意味を持ちます。
民法162条では、取得時効の要件として「他人の物」としており、自分のものかどうか不明な場合、あてはまらないようにも読めます。
しかし、判例では、取得時効は一定の状態が継続している場合、そのことに法的な権利関係を認め、保護しようとするものですから、土地が自分のものか隣の地主のものか分からなくても、取得時効が成立するとされます。
したがって、境界が不明で、自分の土地の範囲を証明できない場合でも、10年ないし20年間占有している土地については、取得時効を主張できます。
なお、取得時効が認められるからといって、土地の公法上の境界(地番)が移動するわけではありません。
編集後記
- 最初、目がかゆかったのが、鼻に移ってきて、ここ数日は突然、鼻汁がポタポタ滴ったりするようになってきました。
薬も飲んでるんですが、あまり効きません。
注意力が低下して、仕事もはかどらないし、「なんだかなぁ」な毎日です。(古井)