■□ 王道通信 □■ Vol.52
目次
1...専業大家の独り言 〜 借地と建物登記
2...借地入門(9) 〜 借地と税金 その2
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇借地と建物登記
アパート専業大家・白岩貢
- 先日、同級生のお父さんが亡くなり、お通夜にいってきました。
家は世田谷の一等地にあるのですが、よく聞くと自宅は借地。
同じ敷地内には古いアパートも建っています。
その友人といろいろ話をしていると、「ちょっと相談したいことがあるんだけど」というのです。
何のことかなと思って聞くと、実はこの借地に建つ自宅とアパート(建物のことです)が以前から登記してないとのこと。
思わず「エーッ」と叫んでしまいました。
借地で最も一般的なのが、旧借地法による普通借地権です。
普通借地権は地主との間の契約(債権)に過ぎません。
本来なら、当事者(地主と借地人)の間だけで有効な取り決めであり、もし、土地の所有権(底地)を何も知らない他人(善意の第三者)に売られると、借地から立ち退かざるを得なくなってしまいます。
しかし、それでは自宅や商売の拠点を簡単に追い出されてしまい、社会的にマズイということで、旧借地法や現在の借地借家法では、「借地の上にある建物を登記すれば、誰に対してでも借地権を主張できますよ」というふうにしたのです。
重要なのは、その建物が借地人の名義で登記されている、ということです。
父親が借地を借りていれば、父親名義で登記された建物が建っていなければなりません。
子供が家を建てて登記してもだめです。
友人の場合、借地はお父さんが借りていたものでした。
借地権は相続されるので、まず借地の名義を相続人に書き換える必要があります (相続による名義の書き換えは基本的に地主の承諾不要)。
その上で、借地上の建物の登記(表示登記および保存登記)をすることになるでしょう。
ただ、お父さんが亡くなってしまったので、借地の名義書き換えも、借地上の建物の登記も、相続人の遺産分割協議書が必要になります。
万が一、そうした手続きが終わる前に建物が燃えてなくなったり、底地を売られたりすると、面倒なことになりかねません。
借地は日本中に、かなりたくさんあります。
それだけいろいろな問題も含んでいて、注意する必要があります。
一方で、借地(借地権)は価格が所有権より当然安いだけに、アパート投資において注目すべき土地でもあります。
詳しくはぜひ、2月の「勉強会」で。
借地入門(9) 〜 借地と税金 その2
- 前回に続き、借地の税金について整理します。
前回は、相続税と贈与税における借地の評価方法についてふれました。
基本的に、借地の評価額は、土地(更地状態)の相続税評価額がベースになります。- 例えば、
評価額・・・5,000万円の土地
借地権割合・・・70%
としましょう。
借地権の評価額は、次のようになります。
自用地評価×借地権割合
5,000万円×70%= 3,500万円
土地にアパートなどを建てて貸していると、入居者には借家権という権利が発生し、土地の利用がある程度制限されます。
その分だけ、評価額を下げてみてくれるのです。
国税庁では、地域によって借家権割合を決めており、この場合、それが30%とすると、- 借地権の価額×(1−借家権割合)
3,500万円×(1−30%)= 3,245万円
となります。
借りている人が亡くなれば、土地を明け渡さなければなりません。 - 例えば、
編集後記
- 先日、テレビを見ていたら、例の毒ギョーザの調査で来日していた中国政府の調査団の責任者が、記者会見でマスコミの対応についてコメントしていて思わず涙ぐんでいました。
2週間ほど前、アメリカでも大統領予備選でヒラリー・クリントン候補が序盤の劣勢の中、どこかの州で「大変ですか?」といった質問を受けて思わず涙ぐみ、結果的にその後の投票でライバルのオバマ候補に勝ったことがありました。
誰しも、自分が一生懸命やっているのに、まわりがそれを理解してくれなかったり、状況が思うとおりに行かないと、「何で分かってくれないんだ」「どうしてうまく行かないの」とつい感情的になるものです。
難しい状況に直面したときほど、共感してくれる人にはほろりとくるし、逆にまわりの無理解に弱気になったりする。
人間は感情の生き物であり、人間関係を左右するのも理屈だけではなく、感情なんですね。(古井)