■□ 王道通信 □■ Vol.46
目次
1...専業大家の独り言 〜 給湯器の取替え
2...借地入門(5) 〜 借地上の建物の建て替え
3...編集後記
1...専業大家の独り言・白岩貢
◇給湯器の取替え
アパート専業大家・白岩貢
- 今月初めに開いた勉強会で、ある会員さんから相談を受けました。
25室のアパートを1棟所有している方で、最近、全室の給湯器を取り替えたそうです。
それがなんと、1台20万円で、合計500万円。
菅さんに聞くと、16号の給湯器なので、工事費込みで1台10〜15万円くらいでできるのではないかということでした。
アパートや賃貸マンションは、築年数が経ってくると、建物や設備の補修がかなり発生します。
戸数がそれほどなければ、壊れたり問題が発生したりした都度、対応するという手もあります。
しかし、だいたい同じくらいの年数が経つと、次々に交換時期がくるものは、一度に取り替えたほうがいい場合もあるでしょう。
1棟20室、30室とまとまった数になれば、価格をふくめ交渉しやすいからです。
問題は交渉の仕方。
この方の場合、ガス会社系の工事会社に2社ほど聞いたら「この製品しかない」というような言い方をされ、1台20万円という値段を提示されたそうです。
そして、ちょっと高いなと感じつつ、自分は素人だし、そんなものかと納得してしまったのです。
こういうときこそ、我が「王道チーム」に聞いてもらいたいものです。
菅さんのほかにも、建築資材や設備機器についてはプロ中のプロである荒井さんや、小櫻さんはじめ設計士のみなさんもいます。
細かいことでも結構ですから、何かあればどうぞ気軽にお問い合わせくださいね。
2...借地入門(4) 〜 定期借地権
- 借地借家法により、借地人が手厚く保護されているわけですが、建物の建て替えには注意が必要です。
しかも、旧法での借地の場合と、現在の借地借家法のもとでの借地(平成4年に同法が施行されて以降の借地)では、扱いが多少異なります。
旧法の借地で建物を建て替える場合ですが、通常、契約書で建物の構造について木造に限るなどの制限があります。
したがって、木造から鉄筋コンクリートに建て替える場合などは地主の承諾が必要なのですが、周辺がビルだらけになっていたりすると、借地人は裁判所に対し、条件変更の許可を申し立てることができ、その際、承諾料も決めてくれます。
こうした建て替えにともなう承諾料は、更地価格の10%程度といわれますが、当然、ケースによって差があります。
一方、平成4年8月1日施行の借地借家法では、借地人にはより厳しいルールになっています。
地主が承諾していないのに建て替えたときは、周辺の立地条件などに関わりなく、建て替えは違法になり、地主はその違法な建て替えを理由に借地契約を解除でき、解除から3ヶ月後に借地権は消滅します。
単に、建物を取り壊すのも危険で、取り壊したけれど地主から承諾が得られないときは、そのまま建てられなくなります。
借地上の建物の建て替えはもちろん増改築も、借地契約そのものに重大な影響を及ぼしますから、きわめて慎重に行なう必要があります。
予め、契約内容とともに適用される法律(旧借地法か現借地借家法か)がどれかなどを確認し、地主との交渉などできれば法律の専門家の力を借りて進めるほうがよいでしょう。
編集後記
- 今朝の日経新聞によると、大東建託の創業者が、株式を外資系金融機に売却する予定だそうです。
大東建託といえば、2700人もの営業部隊を抱え、日本全国の農家などにアパート経営を進めるローラー作戦で、8期連続の増収増益。
現在では東証1部に上場し、賃貸住宅の管理戸数は業界1位にまでなっています。
しかも無借金経営で、投資家にとっては超優良企業といえるでしょう。
ただ、同社のビジネスモデルがいつまで続くか、不透明なところがありますし、最近は、オーナーから集めた資金で家賃保証をするという仕組みが、改正保険業法との関係で問題になったりしています。
株主にとってはちょうどいまが一番高く売れるときなのかもしれません。
(古井)