収益物件で大事なのはメンテナンスなど含めて考えたライフサイクルコスト
「王道」設計チーフの小櫻です。
私は大学卒業後、東京藝術大学教授をつとめる北河原温(きたがわら・あつし)先生のもとで約10年勉強した後、独立しました。
独立後は、テナントビル、個人住宅、共同住宅、リノベーション、広告デザインなど幅広い仕事を手掛けています。そして数年前、知人を介して白岩さんと知り合い、木造アパートや賃貸マンションなど収益物件の設計という新しいジャンルに挑戦しているところです。「王道」ではもっぱら新商品の開発を担当し、これまでゼロ型、戸建て賃貸、新型王道、ローコストRC、ローコストSなどを企画しました。
私の設計ポリシーは、依頼主との対話を大切にすることです。依頼主は通常、建築については素人ですから、要望をそのまま図面にしても、うまくいきません。逆に、建築士の主張が強すぎても、満足いくものになりません。依頼主が何を求めているのか、本人も実は気づいていないニーズを探り出し、同時にそれを法的規制や賃貸市場の状況などとすり合わせ、具体的な建築物にまとめ上げて行く。それが建築士の存在意義だと思います。
また、王道でアパートなど収益物件を手掛けるようになって気になり出したのが、耐用年数とメンテナンスのことです。これまでのモダン建築は、いい材料を使って、独特のデザイン性を追及し、耐用年数のことはあまり気にしていません。また、完成後には手厚いメンテナンスを当然視しています。しかし、収益物件はより経済合理性が求められます。いかに長い期間、安定した収益を確保するか。それには、耐用年数とメンテナンスコストがきわめて重要です。
大家のみなさんも、当初の建築費にとらわれ過ぎると失敗しやすいことはぜひ認識していただきたいと思います。多くの方が最初のコスト(イニシャルコスト)である建築費をいかに安くするか気にしています。しかし、大事なのは将来のメンテナンス、建て替えなども含めて考えたトータルなコスト(ライフサイクルコスト)です。
「王道」では現在、基本的に工務店の設計・施工方式を採用しており、建築士が入るのはご希望のあるケースに限っています。これは収益物件としての収益性を確保するための方法のひとつです。ただ、担当工務店が作成するプランについてはすべて、私が専門的視点からチェックを入れるほか、工事開始後は、大工職人の菅さんと一緒に現場のチェックなども行っています。プランや工事における品質確保には、十分な配慮をしているので安心していただけると思います。
<経歴>
1965年 広島県生まれ
1987年 工学院大学建築学科卒
北川原温建築都市研究所入所
1998年 小櫻友康建築設計事務所設立、
現在に至る。
2006年 王道チームに参加
<王道での設計実績>
・宇都宮コラボK-1(RCビルトインガレージ付長屋、設計のみ、実現せず)
・清原台ガレージハウス(戸建て賃貸)
・ハウゼ高萩(ゼロ型アパート)
・イディアール立石(ゼロ型アパート)
・プルーヴ稲城(大長さんのサラリーマン向けアパート)
・鶴見アパート(ゼロ型アパート、基本設計のみ)
・アパートM(牧の原ローコストワンルームアパート)
・駒沢3丁目マンション(RCマンション)
・オーシャンヒル(ゆったり豪華アパート、設計完了、着工前)
・戸建て賃貸住宅(戸建て賃貸住宅、設計完了、着工前)
その他、全ての物件の指導および監修